はじめに
現在、少しずつ解説・写真を充実させています。勉強不足で説明が足りない部分が多いのですが、お許しください。
基本的に自宅の庭で観察したものです。新潟市の海岸そばにあるのですが、氷点下になることが少なく、
なかなか撮影チャンスがありません。
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雪結晶の分類
大分類(8分類)
中分類(39分類)
小分類(121分類)
雪結晶、及び氷結晶・固体降水の名称は、「グローバル分類」の雪結晶の形状(菊地ほか,2012)によります。
分類は右のように 3 階層になっていて、記号は大分類(アルファベット大文字)-中分類(数字)-小分類(アルファベット小文字)と続けて書きます。
<例>C:柱状結晶群、C1:針状結晶、C1a:針
名称をクリックすると、それぞれの雪結晶へジャンプします。
菊地勝弘,亀田貴雄,樋口敬二,山下晃,雪結晶の新しい分類表を作る会メンバー(2012):中緯度と極域での観測に基づいた新しい雪結晶の分類 −グローバル分類−.雪氷,74(3),223-241.
気温・水蒸気量と雪結晶の形
参考:
ダイヤグラムは 小林禎作・古川義純,1991:中谷ダイヤグラムの概念図を基に作成
雪結晶のイラストは Kikuchi et al., 2013 :A global classification of snow crystals, ice crystals, and solid precipitation based on observations from middle latitudes to polar regions.
雪結晶が成長する場所(雪雲の中)の気温と水蒸気の量によって形の傾向が決まります。
雪雲の中で気温条件が変わるとCP1.鼓状結晶・CP2.砲弾・板状結晶(4.→3.)、
CP3.柱状・板状結晶(3.→2.)ができます。また、3.の板状結晶群の気温領域で水蒸気の量が変わるとP4.複合板状結晶ができます。
雪結晶が成長して落下する間に雲粒をくっつけるとR:雲粒付結晶群やR2.濃密雲粒付結晶に、
雲粒が沢山くっつくとR3.霰状雪やR4.霰に、
結晶同士が絡まると雪片(A:付着・併合結晶群)に、
融け始めるとH2.霙になります。
雪結晶の写真
※観察頻度については、(多い←)頻・多・普・少・希(→少ない)で表現しています。
C:柱状結晶群(ちゅうじょうけっしょうぐん)
細長い六角柱のグループです。-4℃〜-10℃で水蒸気量が多いとき成長します。
C1.針状結晶(しんじょうけっしょう)
C1a:針(はり)
観察頻度:普
とても細長く伸びた六角柱の雪結晶です。太さは 0.1 mm に満たないのに長さは 1 mm を越えることがあり、目視でも短い毛のように見えます。
C1b:束状針(そくじょうしん)
観察頻度:少
複数の細長い針が束になったような雪結晶です。
C1c
C1c:針集合(はりしゅうごう)
観察頻度:未観測
針が放射状に向き合っているものです。
C2.鞘状結晶(さやじょうけっしょう)
C2a:鞘(さや)
観察頻度:普
六角柱の縁だけが伸びた結果、刀を収める鞘(さや)のように中空となった雪結晶です。
C2b:束状鞘(そくじょうさや)
観察頻度:少
鞘がいくつも並んだように成長した雪結晶です。
C2c
C2c:鞘集合(さやしゅうごう)
観察頻度:希
鞘が放射状に向き合っているものです。
C3.角柱状結晶(かくちゅうじょうけっしょう)
C3a:角柱(かくちゅう)
観察頻度:少
短い六角柱状の雪結晶です。中に気泡を含むものが多いようです。
C3b:骸晶角柱(がいしょうかくちゅう)
観察頻度:普
六角柱の辺や角が優先的に成長した結果、六角形の面(底面)も四角形の面(柱面)も中央が凹んだ形になったものです。
C3c:巻込骸晶角柱(まきこみがいしょうかくちゅう)
観察頻度:希
鞘の一つの四角面がまきこむような形になったものです。霜の結晶でよくみられますが、雪の結晶では希です。
C3d
C3d:細長角柱(ほそながかくちゅう)
観察頻度:未観測
非常に細長く伸びた角柱です。
C3e
C3e:角柱集合(かくちゅうしゅうごう)
観察頻度:未観測
角柱が放射状に向き合っているものです。
C4.砲弾状結晶(ほうだんじょうけっしょう)
C4a
C4a:角錐(かくすい)
観察頻度:未観測
三角錐、六角錐の形をした雪結晶です。
C4b:砲弾(ほうだん)
観察頻度:希
六角柱の片端がとがっている形をしている、水晶の結晶のような形をしたものです。砲弾集合が分離してできます。
右の写真の結晶は一部骸晶構造を持っています。
C4c:骸晶砲弾(がいしょうほうだん)
観察頻度:少
骸晶構造をもった砲弾です。水晶のような結晶の結晶面がすべてへこんだ形になっています。
C4d:砲弾集合(ほうだんしゅうごう)
観察頻度:少
砲弾や骸晶砲弾がお互いにとがったほうを向けてくっついているものです。
4個くっついているものが多いようですが、2個のものや6個以上のものもあります。
P:板状結晶群(ばんじょうけっしょうぐん)
気温が-10〜-20の間では、氷の結晶は六角形の板状に成長しやすくなります。
水蒸気量が少ないと単純な六角形ですが、水蒸気量多くなるとたくさんの枝が伸びるようになります。
P1.角板状結晶(かくばんじょうけっしょう)
P1a:角板(かくばん)
観察頻度:少
六角形の板状の雪結晶です。
P1b
P1b:厚角板(あつかくばん)
観察頻度:未観測
厚みのある角板です。
P1c:骸晶角板(がいしょうかくばん)
観察頻度:普
骸晶構造をもった角板です。
P2.扇状結晶(おうぎじょうけっしょう)
P2a:扇六花(おうぎろっか)
観察頻度:普
6 本の枝が幅いっぱいに広がって、まるで六枚の扇が並んでいるような姿をした雪結晶です。
P2b:広幅六花(ひろはばろっか)
観察頻度:普
枝の幅が広い六花の雪結晶です。枝の先は六角形の辺(柱面)が出来ています。
P3.樹枝状結晶(じゅしじょうけっしょう)
P3a:星六花(ほしろっか)
観察頻度:少
中心からのびる 6 本の主枝のみが成長し、側枝がほとんど目立たない六花の雪結晶です。
P3b:樹枝六花(じゅしろっか)
観察頻度:少
木の枝分かれのように、いくつかの側枝を持つ六花の雪結晶です。雪結晶のイメージにピッタリな結晶の一つですが、新潟市ではそれほど観察されません。
P3c:羊歯六花(しだろっか)
観察頻度:普
たくさんの側枝を持つ六花の雪結晶です。側枝が隙間なく並ぶ様子が植物のシダのように見えることからその名前が付いています。
P4.複合板状結晶(ふくごうばんじょうけっしょう)
P4a:角板付六花(かくばんつきろっか)
観察頻度:普
星六花の枝先に角板が成長した雪結晶です。六角形の縁が明瞭なものを角板付〜、縁ほど薄くなっていて扇の骨のような模様があるものを扇形付〜と区別します。
P4b:扇付六花(おうぎつきろっか)
観察頻度:普
星六花の枝先に扇が成長した雪結晶です。六角形の縁が明瞭なものを角板付〜、
縁ほど薄くなっていて扇の骨のような模様があるものを扇形付〜と区別しています。
P4c:角板付樹枝(かくばんつきじゅし)
観察頻度:普
ある程度の大きさまで樹枝として成長したあと、枝先に角板が成長したものです。六角形の縁が明瞭なものを角板付〜、
縁ほど薄くなっていて扇の骨のような模様があるものを扇形付〜と区別しています。
P4d:扇付樹枝(おうぎつきじゅし)
観察頻度:普
ある程度の大きさまで樹枝として成長したあと、枝先に扇型が成長したものです。
六角形の縁が明瞭なものを角板付〜、縁ほど薄くなっていて扇の骨のような模様があるものを扇形付〜と区別します。
P4e:枝付角板(えだつきかくばん)
観察頻度:普
雪結晶の発生初期には角板状結晶、その後に枝が伸びたものです。
P4f:扇付角板(おうぎつきかくばん)
観察頻度:多
雪結晶の発生初期には角板状結晶、その後扇形の枝が伸びたものです。
P4g:樹枝付角板(じゅしつきかくばん)
観察頻度:多
雪結晶の発生初期には角板状結晶、その後に樹枝の枝が伸びたものです。
P5.分離・多重六花状結晶(ぶんり・たじゅうろっかじょうけっしょう)
P5a
P5a:二花(にか)
観察頻度:普
枝の数が2本の雪結晶です。六花の結晶が分離することでも、初めから二花として成長することもあるようです。
P5b:三花(さんか)
観察頻度:普
枝の数が3本の雪結晶です。六花の結晶が分離することでも、初めから三花として成長することもあるようです。
P5c:四花(よんか)
観察頻度:普
枝の数が4本の雪結晶です。六花の結晶が分離することでも、初めから四花として成長することもあるようです。
P5d:十二花(じゅうにか)
観察頻度:少
通常、雪結晶といえば六花をイメージしますが、十二花は枝が倍の12本あります。
成長の初期に二つの雪結晶が中心を合わせてくっつくと、同じような形をした枝が12本伸びます。
また、双晶となった小さな結晶から枝が伸びたものもあります。
P5e
P5e:十八花(じゅうはちか)
観察頻度:未観測
枝の数が18本の雪結晶です。
P5f
P5f:二十四花(にじゅうよんか)
観察頻度:未観測
枝の数が24本の雪結晶です。
P6.立体状結晶(りったいじょうけっしょう)
P6a:立体扇付角板(りったいおうぎつきかくばん)
観察頻度:少
角板状結晶や扇状結晶の表面から、立体的に扇形の小さな枝を伸ばした雪結晶です。
雪結晶の表面に付着した雲粒などから小さな枝が発生します。
P6b
P6b:立体樹枝付角板(りったいじゅしつきかくばん)
観察頻度:未観測
角板状結晶や扇状結晶の表面から、立体的に樹枝の枝を伸ばした雪結晶です。
雪結晶の表面に付着した雲粒などから小さな枝が発生します。
P6c:立体扇付樹枝(りったいおうぎつきじゅし)
観察頻度:少
樹枝状結晶の表面から、立体的に扇の小さな枝を伸ばした雪結晶です。雪結晶の表面に付着した雲粒などから小さな枝が発生します。
P6d:立体樹枝付樹枝(りったいじゅしつきじゅし)
観察頻度:少
樹枝状結晶の表面から、立体的に樹枝の枝を伸ばした雪結晶です。雪結晶の表面に付着した雲粒などから小さな枝が発生します。
P7.放射状結晶(ほうしゃじょうけっしょう)
P7a:放射角板(ほうしゃかくばん)
観察頻度:希
最初の氷晶が多結晶に凍り、それぞれの氷結晶から角板状結晶が放射状に成長した雪結晶です。
P7b:放射樹枝(ほうしゃじゅし)
観察頻度:多
最初の氷晶が多結晶に凍り、それぞれの氷結晶から樹枝状の枝が放射状に伸びて出来たものです。
P8.非対称板状結晶(ひたいしょうばんじょうけっしょう)
P8a:非対称板状(ひたいしょうばんじょう)
観察頻度:頻
単純な六角形ではないもの、枝の張り方に対称性がないものなど、決まった形のない雪結晶をここに分類します。
とてもたくさん観察されるものです。
P8b:複雑多重角板(ふくざつたじゅうかくばん)
観察頻度:希
板状結晶が重なるように複雑に成長したものです。
CP:柱状・板状結晶群(ちゅうじょう・ばんじょうけっしょうぐん)
雪雲の中で気温が大きく異なる場所まで移動しながら成長したもので、成長の途中で柱状→板状もしくは板状→柱状と形を変えたものです。
CP4〜CP9は、雪雲の温度が-25℃程度以下と低いところでできる雪の結晶と言われています。
CP1.鼓状結晶(つづみじょうけっしょう)
CP1a:角板鼓(かくばんつづみ)
観察頻度:普
柱状結晶→板状結晶と成長した、鼓型結晶の一番単純な形のものです。柱状の部分が骸晶になっている場合が多いです。
CP1b:樹枝鼓(じゅしつづみ)
観察頻度:普
柱状結晶→樹枝状結晶と成長した雪の結晶です。柱状の部分が骸晶になっている場合が多いです。
CP1c:多重鼓(たじゅうつづみ)
観察頻度:少
柱状結晶部分の途中からも角板などの枝を伸ばした鼓状結晶です。
CP2.砲弾・板状結晶(ほうだん・ばんじょうけっしょう)
CP2a:角板付砲弾(かくばんつきほうだん)
観察頻度:希
砲弾の底面側に角板状結晶が成長したものです。角板付砲弾集合が分離してできたものです。
CP2b:樹枝付砲弾(じゅしつきほうだん)
観察頻度:希
砲弾の底面側に樹枝状結晶が成長したものです。樹枝付砲弾集合が分離してできたものです。
右の写真の例は、樹枝(角板の枝になっています)となっている面を真上から見たものです。よく観察すると砲弾部分が手前に伸びているのが確認できます。
CP2c:角板付砲弾集合(かくばんつきほうだんしゅうごう)
観察頻度:希
角板付砲弾がお互いにとがったほうを向けてくっついているものです。
4個くっついているものが多いようですが、2個のものや6個以上のものもあります。
CP2d:樹枝付砲弾集合(じゅしつきほうだんしゅうごう)
観察頻度:希
樹枝付砲弾がお互いにとがったほうを向けてくっついているものです。
4個くっついているものが多いようですが、2個のものや6個以上のものもあります。
CP3.柱状・板状結晶(ちゅうじょう・ばんじょうけっしょう)
CP3a:針付六花(はりつきろっか)
観察頻度:希
扇状結晶等の枝の角から針が伸びた雪結晶です。針が短いと目立たないので、
これはと思ったら斜めから注意深く観察すると見つけられます。下の写真は針を横から見る形で ’立って’ くれた結晶です。
CP3b:角柱付六花(かくちゅうつきろっか)
観察頻度:少
扇状結晶等の枝の角から、角柱が伸びた雪結晶です。
右の写真の例では、かなり融解が進んでいるために柱状部分が針のように見えますが、
拡大してみると先端に結晶面ができていることから角柱と判断できます。
CP3c:巻込骸晶付六花(まきこみがいしょうつきろっか)
観察頻度:希
枝の縁から薄い板(柱面)が垂直方向に伸びている雪結晶です。斜めから観察しないと分かりにくい形をした結晶の一つです。
下の結晶は偶然側面からも観察できたものです。
大きな写真はこちら→
c 軸方向から●
b 軸方向から●
CP3d:針付角板(はりつきかくばん)
観察頻度:希
角板状結晶の角から、針が伸びた雪結晶です。
CP3e
CP3e:角柱付角板(かくちゅうつきかくばん)
観察頻度:未観測
角板状結晶の角から、角柱が伸びた雪結晶です。
CP3f:巻込骸晶付角板(まきこみがいしょうつきかくばん)
観察頻度:希
角板状結晶の縁から巻き込んだ骸晶が伸びている雪結晶です。
CP4.交差角板状結晶(こうさかくばんじょうけっしょう)
CP4a:交差角板(こうさかくばん)
観察頻度:希
二枚の角板がある程度決まった角度で交わっている、多結晶の雪結晶です。
CP4b:連鎖交差角板(れんさこうさかくばん)
観察頻度:少
交差角板が一方向にいくつもつながっている結晶です。
CP4c:放射交差角板(ほうしゃこうさかくばん)
観察頻度:少
交差角板や連鎖交差角板が放射状につながっている結晶です。
CP5.柱状・板状の不規則結晶(ちゅうじょう・ばんじょうのふきそくけっしょう)
CP5a:角柱・砲弾・交差角板の不規則集合(かくちゅう・ほうだん・こうさかくばんのふきそくしゅうごう)
観察頻度:少
交差角板や砲弾などが放射状にくっついている結晶です。
観察頻度を少としていますが、気象条件(南岸低気圧時など・新潟市の場合。)によっては頻繁にみられる結晶です。
CP6.骸晶状結晶(がいしょうじょうけっしょう)
CP6a:骸晶四角形(がいしょうしかくけい)
観察頻度:希
板状の結晶ですが、六角ではなく四角形の姿をしている結晶です。板状ですが、板の面の結晶方位は板状結晶群と異なります。
通常光の撮影では、単結晶か結晶かで区別する CP6b・CP6c と見分けられません。右の写真(中央左寄りの四角形)も CP6a と確定したものではありません。
CP6b
CP6b:多結晶骸晶四角形(たけっしょうがいしょうしかくけい)
観察頻度:未観測
多結晶でできている骸晶四角形です。
CP6c
CP6c:多重骸晶四角形(たじゅうがいしょうしかくけい)
観察頻度:未観測
四角形が複数連なった結晶です。
CP6b
CP6d:複雑骸晶多角形(ふくざつがいしょうたかくけい)
観察頻度:未観測
四角形等が複雑に連なった結晶です。
CP6e:骸晶角柱・交差角板(がいしょうかくちゅう・こうさかくばん)
観察頻度:希
骸晶角柱と交差角板が組み合わさった雪結晶です。
CP6f:骸晶砲弾・四角形(がいしょうほうだん・しかくけい)
観察頻度:希
四角形に骸晶砲弾がくっついている雪結晶です。
CP6g
CP6g:多角形骸晶集合(たかくけいがいしょうしゅうごう)
観察頻度:未観測
四角形等が放射状にくっついている結晶です。
CP6h
CP6h:複雑柱面構造(ふくざつちゅうめんこうぞう)
観察頻度:未観測
柱面が板状になった結晶が不規則に連なった結晶です。
CP7.御幣状結晶(ごへいじょうけっしょう)
CP7a:御幣(ごへい)
観察頻度:希
祭祀でつかう御幣(ごへい)のように、菱形がたくさんつながったような形をしている雪結晶です。二つの結晶がつながっている双晶結晶です。
CP7b
CP7b:砲弾付御幣(ほうだんつきごへい)
観察頻度:未観測
御幣と砲弾が集合している結晶です。
CP7c
CP7c:交差角板付御幣(こうさかくばんつきごへい)
観察頻度:未観測
御幣と交差角板が集合している結晶です。
CP7d
CP7d:角柱御幣(かくちゅうごへい)
観察頻度:未観測
小さな角柱のような結晶が斜めに連なって御幣のように見える結晶です。
CP7e
CP7e:対称御幣(たいしょうごへい)
観察頻度:未観測
御幣が反対向きに繋がっている(集合している)結晶です。
CP7f
CP7f:氷柱御幣(つららごへい)
観察頻度:未観測
極小さな御幣状の形をした結晶です。
CP7g
CP7g:多重菱形御幣(たじゅうりょうけいごへい)
観察頻度:未観測
菱形の骸晶構造が見られる結晶です。
CP8.矛先状結晶(ほこさきじょうけっしょう)
CP8a
CP8a:矛先(ほこさき)
観察頻度:未観測
御幣よりも鋭くとがった菱形がつながっているような雪結晶です。御幣と同じく多結晶です。
CP8b
CP8b:砲弾集合付矛先(ほうだんしゅうごうつきほこさき)
観察頻度:未観測
矛先に砲弾が付いている結晶です。
CP8c
CP8c:交差角板付矛先(こうさかくばんつきほこさき)
観察頻度:未観測
矛先と交差角板が放射状につながった結晶です。
C8d
CP8d:多重矛先(たじゅうほこさき)
観察頻度:未観測
矛先が重なるように連なった結晶です。
CP9.鴎状結晶(かもめじょうけっしょう)
C9a
CP9a:内側角板付鴎(うちがわかくばんつきかもめ)
観察頻度:未観測
C9b
CP9b:外側角板付鴎(そとがわかくばんつきかもめ)
観察頻度:未観測
C9c
CP9c:両側角板付鴎(りょうがわかくばんつきかもめ)
観察頻度:未観測
C9d
CP9d:内側鋸歯付鴎(うちがわのこはつきかもめ)
観察頻度:未観測
C9e
CP9e:外側鋸歯付鴎(そとがわのこはつきかもめ)
観察頻度:未観測
A:付着・併合結晶群(ふちゃく・へいごうけっしょうぐん)
複数の結晶が絡み合いくっついたものを雪片と呼びます。付着・併合結晶群は各結晶群の雪片です。
A1.柱状結晶の併合(ちゅうじょうけっしょうのへいごう)
A1a:角柱・砲弾集合等の併合(かくちゅう・ほうだんしゅうごうなどのへいごう)
観察頻度:多
柱状結晶群の雪片です。新潟市では針の併合が多く見られ、砲弾集合の併合が見られることは少ないです。
A2.板状結晶の併合(ばんじょうけっしょうのへいごう)
A2a:角板・樹枝状等の併合(かくばん・じゅsじょうなどのへいごう)
観察頻度:頻
板状結晶群の雪片です。たくさんの結晶が絡み合って、とても大きな雪片になることがあります。牡丹雪(ぼたんゆき)はこの分類にはいります。
A3.柱状・板状結晶の併合(ちゅうじょう・ばんじょうけっしょうのへいごう)
A3a:柱状・板状・交差角板の併合(ちゅうじょう・ばんじょう・こうさかくばんのへいごう)
観察頻度:少
柱状結晶群・板状結晶群及び交差角板の仲間の雪片です。
R:雲粒付結晶群(うんりゅうつきけっしょうぐん)
雪結晶が雲の濃いところを通過するとき、雲粒(過冷却水滴)が衝突してきてくっつきます。
そのような雪結晶が雲粒付結晶です。
雲粒の付いている程度によって、雲粒付結晶、濃密雲粒付結晶、霰状雪、霰、の 4 段階にわかれます。
私は、元の雪結晶の結晶面がはっきりと見えるものは雲粒付、ほぼ雲粒で覆われたものは濃密雲粒付、
厚みを持つまでに雲粒が付いたものは霰状雪と判断しています。
R1.雲粒付結晶(うんりゅうつきけっしょう)
元の雪結晶の形がはっきりとわかる雲粒付結晶です。
R1a:雲粒付柱状(うんりゅうつきちゅうじょう)
観察頻度:多
少し雲粒が付いた柱状結晶群です。針、鞘、骸晶角柱の雲粒付結晶が多くみられます。
R1b:雲粒付角板(うんりゅうつきかくばん)
観察頻度:多
少し雲粒が付いた角板状結晶です。
R1c:雲粒付六花(うんりゅうつきろっか)
観察頻度:頻
少し雲粒が付いた扇状結晶や樹枝状結晶などです。濃密雲粒付六花と並び、とてもたくさん観察されます。
R1d:雲粒付立体(うんりゅうつきりったい)
観察頻度:多
少し雲粒が付いた放射状結晶や立体状結晶です。
R2.濃密雲粒付結晶(のうみつうんりゅうつきけっしょう)
R2a:濃密雲粒付柱状(のうみつうんりゅうつきちゅうじょう)
観察頻度:頻
たくさん雲粒が付いた柱状結晶です。雲粒が結晶面を持つこともあります。
R2b:濃密雲粒付角板(のうみつうんりゅうつきかくばん)
観察頻度:多
たくさん雲粒が付いた角板状結晶です。
R2c:濃密雲粒付六花(のうみつうんりゅうつきろっか)
観察頻度:頻
たくさん雲粒が付いた扇状結晶や樹枝状結晶などです。雲粒が結晶一面に付いたもの、部分的にたくさん付いたものとあります。
R2d:濃密雲粒付立体(のうみつうんりゅうつきりったい)
観察頻度:多
たくさん雲粒が付いた放射状結晶や立体状結晶です。
R3.霰状雪(あられじょうゆき)
R3a:六花霰状雪(ろっかあられじょうゆき)
観察頻度:多
樹枝状結晶等の六花結晶に、非常に多くの雲粒がついて厚みを持った結晶です。
R3b:塊霰状雪(かたまりあられじょうゆき)
観察頻度:普
元の結晶の形がわからないほどたくさんの雲粒がついたものです。
R3c:枝付霰状雪(えだつきあられじょうゆき)
観察頻度:普
たくさんついた雲粒などから少しだけ枝がのぞいて見える結晶です。右の写真は雲粒がついた後に枝が伸びたものです。
R4.霰(あられ)
R4a:六花霰(ろっかあられ)
観察頻度:普
六花の雪結晶にたくさんの雲粒が付いて、膨らんだ六花の形となった霰です。
R4b:塊霰(かたまりあられ)
観察頻度:頻
雪雲の中を回転しながら落下し、あらゆる方向に雲粒がたくさんついて、でこぼこした球形になった霰です。
R4c:紡錘霰(ぼうすいあられ)
観察頻度:頻
雪雲の中を回転しないで落下することで、円錐型になった霰です。
底面を下に向けて落下してきています。
G:初期結晶群(しょきけっしょうぐん)
小さな氷晶のグループです。
薄い雪雲の中では十分に大きく成長することができず、肉眼では形が解りにくい大きさ(0.2 mm 程度以下)で地上に降ってきます。
ダイヤモンドダストもこの仲間に入ります。
新潟市の平地では、広幅六花などの板状結晶群に付着する形で観察されます。
氷晶でできた巻雲や巻層雲は、さまざまな美しい大気光象(暈などの現象)を見せてくれますので、
間接的にその存在を見ることができます。
G1.柱状氷晶(ちゅうじょうひょうしょう)
G1a:角柱氷晶(かくちゅうひょうしょう)
観察頻度:希
とても小さな六角柱の結晶です。
(この氷晶でできた雲はタンジェントアークやラテラルアークなどを見せてくれることがあります。)
G1b
G1b:扁平角柱氷晶(へんぺいかくちゅうひょうしょう)
観察頻度:未観測
G2.板状氷晶
G2a:角板氷晶(かくばんひょうしょう)
観察頻度:希
とても小さな六角板状の結晶です。
(この氷晶でできた雲は幻日や環天頂アークや環水平アークなどを見せてくれることがあります。)
G2b
G2b:非六角板氷晶(ひろっかくばんひょうしょう)
観察頻度:未観測
六角形の一部の辺がなく、五角形や四角形になっている小さな結晶です。
G2c:六花氷晶(ろっかひょうしょう)
観察頻度:希
六花の小さな結晶です。
G3.多面体氷晶(ためんたいひょうしょう)
とても小さい氷晶では、六角柱の面(基底面と柱面)以外にピラミッド面と呼ばれる結晶面がみられることがあります。
多面体氷晶はピラミッド面をもつ小さな結晶です。
G3a
G3a:十四面体氷晶(じゅうよんめんたいひょうしょう)
観察頻度:未観測
基底面 2 面とピラミッド面 12 面で出来た小さな結晶です。
G3b
G3b:二十面体氷晶(にじゅうめんたいひょうしょう)
観察頻度:未観測
基底面 2 面と柱面 6 面とピラミッド面 12 面で出来た小さな結晶です。
((この氷晶でできた雲は 9 度や 35 度などの珍しい半径を持つ暈を作ることがあります。
→大気光学現象)
G4.多結晶氷晶(たけっしょうひょうしょう)
G4a
G4a:角板氷晶集合(かくばんひょうしょうしゅうごう)
観察頻度:希
角板が集合したような小さな結晶です。
G4b
G4b:複雑交差角板氷晶(ふくざつこうさかくばんひょうしょう)
観察頻度:未観測
小さな交差角板が集合した小さな結晶です。
G4c
G4c:不規則氷晶(ふきそくひょうしょう)
観察頻度:希
決まった形のない小さな氷晶です。
I:不定形群(ふていけいぐん)
I1.氷粒(ひょうりゅう)
I1a
I1a:氷粒(ひょうりゅう)
観察頻度:未観測
小さな氷の粒です。
I2.雲粒付雪粒(うんりゅうつきゆきつぶ)
I2a:雲粒付雪粒(うんりゅうつきゆきつぶ)
観察頻度:頻
雲粒付結晶や濃密雲粒付結晶の破片や、それらが併合したものです。通常の冬型の時、とてもたくさん観察されます。
I3.結晶破片(けっしょうはへん)
I3a:結晶破片(けっしょうはへん)
観察頻度:頻
色々な結晶が、落下中の衝突などによって壊れてできた、結晶の破片です。
H:その他の個体降水群(そのたのこたいこうすいぐん)
H1.凍結降水(とうけつこうすい)
H1a
H1a:凍結雲粒(とうけつうんりゅう)
観察頻度:未観測
雲粒が凍ってできたとても小さな氷の粒です。
H1b
H1b:連鎖凍結雲粒(れんさとうけつうんりゅう)
観察頻度:未観測
凍結雲粒が複数つながった氷の粒です。
H1c
H1c:凍結小雨滴(とうけつしょううてき)
観察頻度:未観測
小さな雨粒が凍ってできた氷の粒です。
H2.霙(みぞれ)
H2a:霙(みぞれ)
観察頻度:頻
気温が高いとき、雪結晶は融けた状態で降ってきます。
融け始めたばかりの雪結晶は、細かな枝は失われているものの結晶の形状を残しており、
撮影は難しいですが光の具合によっては美しく輝きます。
H3.凍雨(とうう)
H3a:凍雨(とうう)
観察頻度:希
凍った雨粒です。融解が進んだ霙や霰が再凍結したものも凍雨と呼ばれます。
H4.雹(ひょう)
H4a:雹(ひょう)
観察頻度:希
直径が 5 mm以上にまで大きくなった雲粒や氷の塊です。雲の中を激しく上下する間に、
たくさんの雲粒をつけたり、融解・再凍結を繰り返したりしてできます。
白っぽい部分と透明な部分が層構造を持つのが特徴です。塊状のもの、紡錘状のものがあります。
気象状況と観察される雪結晶の例
私の観察場所と観察結果によります。皆さんの地域で同じ結晶形が降ってくるわけではありません。
西高東低の気圧配置、 筋状の雲が発達する強い冬型
弱い西高東低の気圧配置、弱い寒気、筋状の雲が目立たない冬型
弱い西高東低の気圧配置、 小さな低気圧通過
南岸低気圧通過
私の雪結晶撮影方法
お願い:ここにある撮影方法を実践していただくことは自由ですが、
この方法やこの方法で撮影した雪の結晶を一般に公開するときは出典を忘れないようにしてください。
撮影機材
カメラ:Panasonic FZ-18→Nikon D90→Nikon D7100
FZ-18にクローズアップレンズNo.5で雪結晶の形を十分に撮影できました。
その後、一眼レフにレベルアップ。D90からD7100に変えています。
十分に光量を確保できる撮影方法なので、高感度耐性はあまり必要がありません。
ピクセル等倍での拡大率を大きく取れるので、現在は画素数の多いD7100に落ち着いています。
レンズ:Ai AF Micro-Nikkor 60mm f/2.8 → Ai AF Micro-Nikkor 105mm f/2.8
MSM-202を組み合わせて使います。D90 に 60 mmでの最大撮影倍率(ピント最近)は約 2.6 倍、
D7100 に 105 ㎜ での最大撮影倍率は 約 4.6 倍になります。大きい雪結晶が降ってきたときはピント位置を∞にすることで対応できます。
クローズアップ:ケンコークローズアップレンズNo.5→レイノックスMSN-202、接写リング)
一眼レフにレベルアップするのにあたり、どうしたら低コストで雪結晶を撮れる環境ができるか考えたところ、見つけたのがMSN-202です。
MSN-202 を使わず、60 ㎜ レンズに接写リング(長さ 68 ㎜)を付けると、最大撮影倍率は約 2.4 倍と十分な値になります。
この組み合わせでは撮影距離を撮ることができるので、木の枝などにぶら下がった雪結晶を狙うときに便利です。
撮影方法
シンプルな撮影方法:反射光撮影
青いアクリル板に降ってくる雪結晶を受け、そのまま融ける前に撮影します。
非常にお手軽なんですが、アクリル板に雪結晶の像が反射して写ってしまう欠点があります。また、氷のキラキラ感はあまり出ません。
白い容器+青い板:反射光+透過光
青い板を器の底において、器に張ったラップの上に雪結晶を受ける方法。
白い容器に当たったフラッシュ光が雪結晶を透過してくるので、雪結晶のキラキラ感が少し出ます。
ただし、ラップが傷つきやすいことと内側が曇りやすいことから、綺麗に写すには撮影中に気を使う必要があります。
シャーレ+アクリルの筒+青い板
→透過光観察台と名付けました。
青い板と雪を受ける場所(シャーレ)を透明なアクリルの筒を使い十分に離したものです。
雪結晶を受ける場所を、ラップからシャーレ(ガラス)にすることで傷つきにくくなりました。
最初、青いアクリル板を流用するためにアクリルの筒を使っていましたが、
100円ショップでちょうど良い箸立て(底が青くて筒部は透明)を見つけてからは、そちらで撮影しています。
撮影するときはやはりフラッシュをたきますが、この装置ではストロボディフューザーは使いません。
雪結晶には直接光が当たらなくなる代わりに下の積雪を明るく光らせることができ、背景が白く輝いてくれます。
すると、真下にある青い板が青い背景を作り、その周りの白く輝く積雪が雪結晶の縁を光らせます。
積雪がない場合は、白いボールを使い白い背景とします。氷点下で雪結晶がすぐに融けない環境であれば、手に持って雪結晶を受け、
屋根の下に移動してじっくり撮影することもできます。
フラッシュ光は青い板と白い積雪を光らせ、反射してきます。
真下からの青い反射光は雪結晶をそのまま透過してくるので、青い背景になります。
周囲の積雪からの白い光は、雪結晶の縁にあたり、うまくレンズの方に屈折したものだけがカメラに届きます。
この結果、雪結晶の縁だけ白くなり、平らな部分は青くなります。「暗視野照明」の応用となります。
目視観察でも、環境光をもとに青い光と白い光が同様の経路で雪結晶にあたるので、
同じように青背景に白縁取りの雪結晶を見ることができます。
カメラの種類によって、観察台の大きさ(透明な筒の高さ)を調整しないと、背景に影が出来たりうまく白い縁取りがつかないことがあります。
うまく光が当たってくれれば、右の写真のように影がほとんど出ず、均一に縁が白く光ります。
カメラを垂直方向に構えると綺麗に青い背景になりますが、わざと少し傾けて撮ると白っぽい背景に少し暗い縁取りの雪結晶を撮ることができます。
背景を工夫すると、好きな色の雪結晶を撮ることができます。
たとえば、青い板を半分だけ入るようにカメラを向けると、背景が青から白へのグラデーションになります。
カラフルな「おはじき」や「色紙」「マジックで色を付けた板」などを下に置くと、
雪結晶に鮮やかなグラデーションを付けることもできます。
青い布と積雪で斜め光撮影
反射光と透過光のほかに、斜め光でも雪結晶撮影が簡単にできます。
右図のように、積雪で小さな壁を作り、その下に青い布を敷き、落ちてきた雪結晶をフラッシュ撮影するだけです。
ルーペを使わないので、マクロ撮影できるカメラが必要ですが、青い布 1 枚で良いのでとても手軽です。
斜め光が優れているのは、ちょうど良い角度で光を当てると、雪結晶内部にある空間(骸晶構造や気泡)をはっきり撮影できることと、
干渉色がつくことがあることです。次の章で紹介している雪結晶写真の多焦点合成の写真がその撮影例です。
骸晶構造や気泡で作られている模様がはっきりと見えるメリットがあります。
雪結晶写真の焦点合成
雪結晶はとても小さいので、大きく写そうと撮影倍率の高いマクロ撮影をするほど、ピントが合う範囲が狭くなってしまいます。
私の撮影レンズでは小さな角柱(直径200μmくらい)でも全体にピントが合うことがありません。
そこで活躍するのが焦点合成という画像処理です。
焦点合成とは、ピント位置を少しずつずらして撮影した複数の画像それぞれから、
ピントが合っている(コントラストが高い所)部分をうまく抽出し、滑らかに合成する技術です。
難点は、透明な雪結晶では、”表面にある構造”と”裏面の構造”にピントが合うので、
ソフトで自動的に合成とはいかない場合があります。目視観察で結晶のどこにある模様かよく見ておかないと、
不自然な合成に気づかず、不自然な写真のままになってしまう恐れがあります。